アストライア

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何も言わずに綾の方に視線を移すと、綾も同じことを考えていたのか、涼の方を見て少しだけ口元を緩めると彩音の方へと向き返る。 「私は、自由になりたいから」 「………自由?」 「私の家は魔法において優秀な家系です。そのおかげで名家とも呼ばれるようになりました。だけど、家が裏でどんな仕事をしているかも知っています」 「あぁ、私も一応裏の人間だからな。瑞樹家の噂はよく聞くよ」 「……………会社の裏取引、密輸、密売。最たる者は暗殺まで。私はこんなことをするために魔法を覚えたわけではないです。いつかこんな家抜け出そうと思ってた。この力を人のために使いたかった。だから、私は強くなりたい。人を助けたい。………それが理由です」 言い終えた綾はどこか弱弱しい目をしながら彩音の方を請うように見つめていた。
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