169人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
雨の日は嫌い。
変な頭痛がする。
外を走る車の、水を跳ねる音で目が覚めた。
ベッド上で上半身起こし、となりで静かな寝息をたてる夫の姿を見てふぅ、っとため息が漏れる。
……いつの間に帰ってきたのか。
その寝息が酒臭くて眉をしかめた。
──そういえば。
夕食を共にしたのっていつが最後だったかしら。
ふと疑問に思ったが、痛い頭では記憶を辿るのは難しく。
別にそれは深刻な問題でもなく。
千乃は窓に近寄り、カーテンを静かに開けた。
最初のコメントを投稿しよう!