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肌にまとわりつくジメっとする暑さの梅雨をどうにか切り抜け
「むにゃ…」
朝の天気予報で連日酷暑だの熱帯夜だのと気象予報士の口から吐き出され
「…う~ん」
熱中症で倒れた人の話をニュースで観ない日がない夏のとある日に
「むぐっ」
ドサッという小さな音をたてて
「あでっ!」
一人の少年がベンチから転げ落ちた。
「…今何時?」
少年はゆっくり起き上がってそう呟くと、右手で地面で打った頭を撫でながら左手で携帯を取り出し、時間を確認した。
少年の名前は『川波 空』(カワナミ ソラ)茜高校に通う3年生だ。
現在の時刻は21:48だった。
かれこれ4時間くらいベンチで寝ていたことになる。
辺りはもう真っ暗だった。
「…暗いな」
そう一言だけ呟くと空は自転車の置いてある公園の外まで歩いて行った。
何故こんな時間まで公園のベンチで寝ていたかというと、
一言で言えば“疲れていた”からだ。
その“疲れていた”理由を話すには、まず少し時間を戻さないといけない。
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