第一章

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そんな中を、 ひとりの青年が通り過ぎる。 生まれも育ちもこの島である青年を、 知らない者はいない。 逆に青年も、 生まれも育ちもこの島の人を、 知らないことはない。 こじんまりとした島なので、 みんな知り合いだ。 青年は、 あちらこちらから声をかけられる。 鮮やかな金髪で、 琥珀色の瞳。 まだあどけなさが残る、 人懐っこい顔立ち。 ほどよい長身で、 鍛えられた筋肉は、 その存在を主張しすぎない程度である。 彼は、 この島で一番の実力を持つ。 つい先日の、 島中の男を集めて行われた剣技大会で、 あっさりと優勝した。
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