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きらびやかな町並み、深夜だというのに街を歩く多くの人々、その中に明らかに周りと違う人物がいる。街を歩く人々はその男の異様さに気づかない。なぜなら見ためは他の人たちと変わらない、しかし、確実に何かがおかしいのだ。その男の眼は、町で騒ぐ若者たちをまるで品定めするかのように凝視していた。そして、その眼が一人の少年にとまった。その視線に気づき、少年は男に近づいた。
「なに見てんの?おっさん。」
少年は、男を鋭い目で睨み、男を威嚇した。しかし、男は動じなかった。ただ、無機質な目で少年を見ていた。少年は、さらに因縁をつけたが、男は反応しなかった。それを見ていた少年の仲間も集まってきた。
「どうしたよ?」
「なんか、このおっさんが俺をにらんでくるんだよ。」
それを聞いた少年の仲間は男に話しかけた。
「おい、おっさん、あっちで話しつけようか。」
少年とその仲間は、男を路地裏に連れていき、殴りかかった。しかし、殴りかかった少年の方が逆に吹き飛んだ。
「っ!?」
少年と仲間は何が起きたかわからず、ざわめいている。殴られた男は、不気味な笑みを浮かべていた。少年たちが恐怖を含んだ眼差しで男を見ていると、見る見るうちに男の姿が怪物へと変わった。
「う、うわっ!!」
少年たちは、叫び声をあげて、逃げ出した。最初に男に話しかけた少年はその場で腰をぬかし座り込んでいた。怪物は逃げ出した少年たちめがけて、針を吐き出した。
「ぐっ!?」
針に当たった少年たちはその場に倒れ込み溶けてなくなった。
「ひっ!!」
腰をぬかし、その場に座り込んでしまった少年は、悲鳴を上げ、必死にその場から離れようとした。
「シャー!」
しかし、それに気づいた怪物が少年に向って糸を吐きつけた。
「ひ、ひぃーーー!?」
見る見るうちに少年は、糸に巻きつかれ、繭の様になってしまった。
「くくく・・・。」
怪物は、不気味に笑い、少年の入った繭を持ち上げようとしたその時、
「ぐわっ!?」
怪物は、悲鳴をあげて、繭から離れた。その手は、手裏剣のようなものに貫かれていた。
「何者だ!!」
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