天敵

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  「…はなして!!!」 ――――ドンッ 私は勢いよく赤髪の男を突き飛ばした。 唇を拭きながら、私はこれでもかってくらい男を睨み付けた。 男はなぜ突き飛ばされたかわからないとでもいうように、呆然とただただ私を見ている。 最低野郎にも程がある。 ありえない。 私は目の前にある"古屋、村瀬"と書かれたネームプレートがかかった扉を開け、勢いよく閉めた。 一瞬、あいつの顔が浮かんで、怖かった。 思い出したくなかったあいつの顔が頭からはなれない。 過呼吸のように、息ができない。 私は乱れた呼吸を必死に整えた。 やっと落ち着き始めたとき。 ふと今の状況に気が付いた。 勢いでなかに入ってきてしまった…! .
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