天敵

12/15
前へ
/369ページ
次へ
  『…お前…誰?』 「うわっ!?」 その声に視線を落とすと、目をしっかりと開けた男の子。 綺麗な顔だと思った。 だけどやっぱり体が拒絶反応をおこして後退りしてしまう。 「あ…私、同室の村瀬心優です…」 『へえ…、まあよろしく』 古屋秀はまあまあだなと、ボソッと小さく呟いた。 まあまあだな? 何がまあまあなの? こいつ独り言とか言うんだ。 ……き、気持ち悪い。 軽くひいた目で見ていると、古屋秀は手を伸ばしてきた。 『なあ…』 「……やっ…!」 私はのびてきた手を、無意識に振り払っていた。 それに気付きすぐに謝る。 「…っあ…!…ごめんなさい…」 古屋秀は驚きを隠しきれず、口を小さくポカンとあけていた。 だけど古屋秀は静かにベッドからおりて、 『悪かったな』 と優しく言ってくれた なんだ、意外に優しいんじゃん .
/369ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6860人が本棚に入れています
本棚に追加