153人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
昔、と言っても世界的に見ればそんな昔じゃないけれど。小さな姉弟がいた。
年で言えば四歳、五歳くらいだ。
「量、そんなに泣かないで?」
「だって……僕、おかしいんでしょ?」
その頃の僕は、周囲から毛嫌いされていた。皆が僕を不気味がって、僕に近付いて来てくれないのだ。
当事幼かった僕は、理由なんて皆目検討がつかず泣きわめくばかりだった。
とにかく僕から周囲の人達に歩み寄っていっても、まるで「風に飛ばされるように」離れていってしまう。
子供の溜まりやすいフラストレーションが行き着く先は、いつも灯姉さんだった。遊び相手も、灯姉さんだけだった。
「灯姉さんは――」
「?」
「どうして僕と一緒にいれるの?」
「だって、」
隣にいる灯姉さんはいつも笑顔で、いつも泣き顔だった僕とは笑えるくらい正反対だった。
「私、量が好きだもん」
姉弟として、だと思っていた。
「だから、繋がりが欲しいの。血じゃない、もっと別の……」
「んー、手を繋ぐとか?」
僕の曖昧な言葉に、灯姉さんはキツイ抱擁で応えてくれた。
その後だったんだろうか、僕は不思議と友達を作ることが簡単になった。
最初のコメントを投稿しよう!