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『もしもし!
あぁ、オレだけど 久し振り』
『あぁ、
何だ高志か…どうしたの?』
『いやぁ、あんましいい天気
だから電話してみたんだよ』
買ったばかりの折りたたみ式の自転車を停めて、私は叔母の自宅へ電話をしていた。
『バカだね。何を言ってんの。お前は天気で電話するの?』
イツモの下らない前置きだと
思ったらしい彼女は続けて…
『お金…?』と訊いてきた。
この頃この叔母には度々小金を借りていて、電話をすれば金の事だと思われる自分が恥ずかしくなった…。
決して楽ではないのだが、
そんなイメージを払拭する為に少々見栄を張ってみせた。
『イヤイヤ、お陰サマで、すっかり
順調だよ』
『あらそう、それは良かった。お金というのは使えば幾らでも使える。少しは考えて使わないとね?』
『あぁ、分かってる。
これからはちゃんとね…?
それよりさ、俺はちょっと
文句があるんだよ』
『文句?』
お互いに、いい関係だと思っていた甥の口から唐突に出た言葉に、彼女は少し戸惑った様子だった。
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