― 訪問 ―

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『あぁ、洗濯物の干し方だけどなっちゃいない!青いタオルは上で、白いのは下に干すと… このあいだの都議会で決まったんだよ』 『はぁ?』 一瞬の間はあったものの、 そこは長い付き合いである。 すぐに察して、マンションの ベランダから顔を覗かせた彼女は、下の駐車場で手を振って いる私を見つけた。 大仰に呆れた表情を見せてから『なぁにを言ってんのかと思えば…、早く上がっていらっしゃい』と言った後に『ばぁか』と付け加えた。 携帯電話を閉じた私は、小さな自転車でクルクル飛び跳ねながら マンションの入口に回った。 .
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