女王様のピンチ

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……だって、だって……あの人のこと思い出したくないのに、無意識に名前が出るんだもん…… ……なんかさ、関係が悪化してから四六時中先輩のことを考えてるって……そういう事実が悔しいんだよね。 ありえない……絶対ないんだけど、これじゃぁ、私が先輩のこと好きみたいじゃんか。いや、ホント、それはないんだけど…… ……うん、ないな……。 「あ……えっと……髪の美容液ってどういうの?」 「え、と……洗い流さなくていいタイプでね、油っぽくないし、さわり心地がサラサラして使用前と使用後じゃ全然違うんだよ」 「……そんなのがあるんだぁ」 「今度、学校に持って来ようか? ミノっちも試しに使ってみる?」 「え……いいの?」 「もちろん」 「あ、ありがとう……」 かーっわいいな、ミノっち! この素朴さに何度癒されたことか! 空気も読めるし、女心も分かってくれるし、男の子なのに守ってあげたくなっちゃうなんて! 母性本能以上の何かがくすぐられる! 「はい、飴、あげるー」 「え?」 「まず俺によこせよ」 「いーくーとー」 相変わらずC組は落ち着く。 このままミノっちに膝枕してもらったらサイコーの寝心地なんだけど……さすがに教室……人の目が気になる。
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