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別れの言葉もなく目の前から消えられる……そんな経験は過去にないけど、その時は俺も泣く気がする。
“拒まれた”って思うだろう……“関係を断たれた”と思うだろう……たとえそれが久家川にとっての防衛手段だったとしても、それは…………それは一方的な久家川側の都合だ。
謝ることもできないとか……目を見て話すこともできないとか……好きな相手にそれをやられたら辛い。結構、キツい……
今の巽先輩はどんな顔しているんだろう……
「史絵、相手と本音でぶつかることを恐れて逃げてばかりいるな。お前の不安は相手にも伝染する。お前がふざければ、相手も真剣に相手しようとは思わない」
「……っ……」
「ましてや好意を覗かせておいて裏切るような行為……絶対にすんな。期待した男がどれだけ惨めか……お前に分かるか?」
俺は、分かる……
シエちゃんとキスしたあの日……このまま彼氏彼女になれると確信していたのに、彼女の気持ちは相変わらず水野に向けられたままだった……
確かに惨めだ。1人舞い上がって馬鹿みたいだ。あの時はすげぇショックで消えてなくなりたくなったけど……
でも、それでも彼女を好きだと言う気持ちは今も残ってる……
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