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……亮……もう終わりにしよっか……彼女なんて存在……亮には必要ないよね?
ていうか私……いらないね。
女の子の靴に合鍵を落とし、何も告げずに部屋を後にする。涙は出なかった。涙は渇れ果てた。亮には随分泣かされたもんね……もう泣かないよ。亮のことで、もう泣かない……
「ただいま」
「史絵、お帰り。アンタの帰り、待ってたのよ」
「え?」
「ちょっと相談があるんだけど…」
「う、うん」
幸か不幸か……その夜、亮から離れる口実が出来た。
私1人で、4年ぶりに生まれ育った町に戻ることになった。
小学6年生まで住んでいた浦霞町……今まで亮のことばかりで昔のことは忘れてたのに、思い出した途端、向こうの友達がなつかしい……
……ユキ……元気かな……
……ユキ……私ね……
……ユキ……
『史絵!!』
君は4年前と変わらずにいてくれるかな。
時期外れの転校のことは、本当に仲が良い一部の友達だけに伝えた。
亮には何も言わずに目の前から消える。
だって、学校最後の日……亮は私を眼中にも入れず、隣のクラスの女子と目の前を横切ったんだ……呑気な笑顔を浮かべてさ。
辛くないはず……ないじゃん。
亮のバカ……バイバイ。
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