女王様のピンチ

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「お前、ウィッグかぶる? メイドで1人だけ髪短いんだよなー」 「私、ウィッグ持ってないヅラ」 「借りりゃいいだろ。この学校、女装趣味の奴とかコスプレ好きな奴とかいるし」 「剣持君、持ってたら貸してー」 「俺にそんな趣味はねぇよ。よし、出来上がり。もう動いていいぞ」 「あんがとー」 「ふふっ、寝癖直って良かったね、久家川さん」 「うんっ」 髪を短くしてから寝癖がつきやすくなり、朝直したはずの寝癖が昼休みには復活していた。 泣きついた先は剣持君の元。ヘアアイロンを持ってC組を訪れたら、「めんどくせぇな」と言いながらも面倒を見てくれるからスキだー。いやぁ、持つべきは手先の器用な友達! 命拾いしたー。 「久家川さんって、髪綺麗だね。やっぱり男とは髪質が違うのかな……」 「うーん、どうなんだろ? でもねー、髪のお手入れは気にしてるよ。髪を洗う前にブラッシングしたり、タオルで乾かす時は擦らないようにしたり。乾かした後は美容液浸透させて」 「……凄いね、女の子って……俺なんてシャンプーした後、タオルで拭くだけだよ」 「シャンプーするだけマシだよー。巽先輩なんてね、体を洗う固形石鹸で髪も洗うんだっ――……」 「……」 「……」 「…………てへー……」 「いきなりテンション落とすな。辛気クセェんだよ」
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