月影学園

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浦霞町。4年住んでいた籐条に引っ越す以前、この町に祖父母と一緒に住んでいた。 近代都市の籐条とは違い、浦霞は割りと田舎……山や川に囲まれているわけじゃないけど、4年ぶりに戻ってきても相変わらず豊かな自然と共存していた。 籐条にマイホームが出来てから祖父母と離れて暮らすようになったけど、近頃、祖母が体調を崩して入退院を繰り返すようになった。それを心配した母が近くで身の回りの世話をしてくれないかと私に転校の話を持ちかけてきた。 共働きの両親が仕事を辞め浦霞に戻ることは現実的に難しい。弟は今の中学を卒業したいと転校を頑なに拒否した。 だから、私は1人で浦霞に戻ってきた。ユキのいる町……小さい頃を思い出す町。 「あら、史絵ちゃん。新しい似合うじゃない」 「しかし、スカートが短すぎじゃないかい?」 「お祖父ちゃん、今どきこのくらいの長さ普通だよ。でも、可愛いセーラー服で良かった」 中学時代も、前の高校もブレザーだったからセーラー服って新鮮だ。スカートはチェック柄でリボンは赤。あ、女子がセーラー服ってことは、男子は学ランかな?
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