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ブサイクな笑顔を懸命に作る久家川に対して、大間先輩ってば心にもない言葉を平然と……
でも、すぐに水野が「……いや、ブサイク」といつもの一言。顔を隠すように俺に抱きついてきた久家川……胸が当たるのは嬉しいけど、イマイチ無防備なんだよなー、コイツは。こういう態度が先輩を傷つけるっつーのに……
「じゃあ、帰るか。浦霞に」
「……帰る」
ぐあっ、悔しいけどコイツ、可愛い!! 包帯をほどいた目はまぶたの上に薄く傷が残っていたけど、心配していた眼球は何の問題もなく、涙目でうるうるキラキラ、なんつー目で見んの、コイツ!!
思わずまぶたにプチュッとキスしたら、
――バシッ
――バシッ
――バシッ
――バシッ
「……痴漢」
「変態」
「史絵の視力は落ちてんだよ。扱いには気を付けてくれ」
「ハゲー、赤城のハゲー」
「……ッ……先輩に叩かれる理由が分からないんですけど……ッ……」
「あー……失明した」
「するかァッ!!」
見た目は可愛くても、
結局、中身は小生意気。
目を押さえながらうつ向く久家川は、ようやくクツクツ笑い始めた。
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