男の覚悟

12/12
前へ
/860ページ
次へ
ブサイクな笑顔を懸命に作る久家川に対して、大間先輩ってば心にもない言葉を平然と…… でも、すぐに水野が「……いや、ブサイク」といつもの一言。顔を隠すように俺に抱きついてきた久家川……胸が当たるのは嬉しいけど、イマイチ無防備なんだよなー、コイツは。こういう態度が先輩を傷つけるっつーのに…… 「じゃあ、帰るか。浦霞に」 「……帰る」 ぐあっ、悔しいけどコイツ、可愛い!! 包帯をほどいた目はまぶたの上に薄く傷が残っていたけど、心配していた眼球は何の問題もなく、涙目でうるうるキラキラ、なんつー目で見んの、コイツ!! 思わずまぶたにプチュッとキスしたら、 ――バシッ ――バシッ ――バシッ ――バシッ 「……痴漢」 「変態」 「史絵の視力は落ちてんだよ。扱いには気を付けてくれ」 「ハゲー、赤城のハゲー」 「……ッ……先輩に叩かれる理由が分からないんですけど……ッ……」 「あー……失明した」 「するかァッ!!」 見た目は可愛くても、 結局、中身は小生意気。 目を押さえながらうつ向く久家川は、ようやくクツクツ笑い始めた。
/860ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2496人が本棚に入れています
本棚に追加