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「あ、先輩、今日の放課後って暇ですか?」
「……なんだ?」
「……その……真面目な話があるんです……久家川のことで」
「……」
***
神妙な面持ちをした赤城にそんなことを言われたら悪い予感しかしない。
『久家川のことで……』
久家川がなんだ?
久家川がどうした?
今まで散々アイツを無視し、視界にも入れず、背を向けて……その結果、最悪な事態を招いてしまった俺が今さら久家川の心配するなんて馬鹿げていると思うが……
それでも、心配だ……
何の言葉もなく、ある日、突然目の前から消えられて……和解も出来ていない。発言を訂正していない。喧嘩したままあんなことが起きて……起きたのに……俺はまだ謝罪も済ませていないんだ……
謝りたい
だが、謝って済む話じゃない。
もう遅い……
だが、
しかし、
それでも……
せめて顔が見たい。
顔は無事か? 心の傷は? 男は怖いか? 今、どんな様子だ?
分からない……
知りたい……
だが、怖い……
知ることが、
拒まれることが、
泣き顔を見るのが、
今、アイツが俺のことどう思っているのか……
会いたいけど……
会えない……
せめて今からでも何か償いはできないかと――……赤城と約束した待ち合わせ場所に向かい、、、
「……あ……」
「……」
久家川本人がその場所にいるとは思わず、俺の思考は停止した。
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