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「……な……なんで……」
「……あ……あの……先輩……」
髪を……少し切っていた。
切った髪を耳にかけ、それだけで雰囲気が落ち着いたものに変わっている……
私服姿は寮で毎日見ていたが……着ている服は以前と違う。露出を控えた格好が一変……もうじき本格的な冬を迎えると言うのに、素足を出したワンピース。首にマフラーを巻いているが、防寒対策になっているようには思えない……
ヒールの高いブーツを履いて……階段で転んだらどうするつもりだ。スタイルは……よく見えるが、そんなに背を高くしなくても十分久家川のスタイルは……
……いや、スタイルなんて今は関係ない。ここに何故、久家川がいるのか……それが問題だ。
俺を見つけると小股で駆け寄ってくる。見ていて危ない。危ないが……可愛い。
何故だ。
分からん。
意味が分からん。
ここに何故、久家川がいる。
何故、そんなにおしゃれをして……まるで俺を待っていたかのような……
「……久家川……」
「……お久し……ぶりです……あ……あの……」
「……」
「……転校すること……先輩に伝えていなかったから……その……改めて挨拶……しておきたくて……っ……ユキに協力……してもらいました……今日、時間大丈夫ですか?」
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