2496人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前、大丈夫か? 熱でもあるんじゃないのか?」
「……ないけど……」
「けど?」
「……っ……寒い……」
「……だから、それはお前が薄着をしてくるから……」
「寒い」と言って手を繋ぎ直してきた久家川は、改めて俺の腕に引っ付いてきた……もう、コイツが可愛いのか、可愛くないのかよく分からん……
好かれているのか、嫌われているのか……それすら分からん……
とにかく柔らかい感触が腹部から腕に移動され、下手に動かせば谷間に埋まるというこの状況……
「……いいな」
しまいには優男に羨ましがられる始末……なんでコイツはこう…………体全体を使って他人に甘えてくるんだ?
「寒いなら映画はやめて帰るか?」
「だっ、ダメ!! まだ一緒にいるの!!」
「……だが、悪化しない内に治した方が……」
「……先輩にくっついてるから大丈夫だもん……っ……だから先輩……離れちゃヤダ……」
「……」
重症だ。
嫌がる久家川の腕を引き、とりあえず映画館から出たものの……
「まだデートしてない!」って……泣く。喚く。ワガママを言う。段々、久家川らしくなってきたが……完全にお手上げ状態だ。
最初のコメントを投稿しよう!