傷心デート

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「お前、大丈夫か? 熱でもあるんじゃないのか?」 「……ないけど……」 「けど?」 「……っ……寒い……」 「……だから、それはお前が薄着をしてくるから……」 「寒い」と言って手を繋ぎ直してきた久家川は、改めて俺の腕に引っ付いてきた……もう、コイツが可愛いのか、可愛くないのかよく分からん…… 好かれているのか、嫌われているのか……それすら分からん…… とにかく柔らかい感触が腹部から腕に移動され、下手に動かせば谷間に埋まるというこの状況…… 「……いいな」 しまいには優男に羨ましがられる始末……なんでコイツはこう…………体全体を使って他人に甘えてくるんだ? 「寒いなら映画はやめて帰るか?」 「だっ、ダメ!! まだ一緒にいるの!!」 「……だが、悪化しない内に治した方が……」 「……先輩にくっついてるから大丈夫だもん……っ……だから先輩……離れちゃヤダ……」 「……」 重症だ。 嫌がる久家川の腕を引き、とりあえず映画館から出たものの…… 「まだデートしてない!」って……泣く。喚く。ワガママを言う。段々、久家川らしくなってきたが……完全にお手上げ状態だ。
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