山形・四日目

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 プーは、あたしに 「俺はお前の助力者にはなれないけど、うちのじーさんならなれる。だからじーさんに会わせたい」 と言っていた。  だから一緒に山形に来たのだが、おじいさんがあたしに言うであろうことを、プーはなんとなく予測していたはずだ。  そして、予測していたのなら、プーがあたしに同じことを伝えても良かったはずなのに、彼はそうはしなかった。  多分、プーに 「お前は、たまたま人より不思議な力が強いだけだ」 とか 「気持ちをしっかり持てば、大丈夫だ」 とか言われたとしても、あたしは本当の意味では、それを理解できなかっただろう。  あたしをマレビトとしてお祭りに参加させたり、そこでハレとケについて教えてくれたり、この村の成り立ちや、顛限院が何のためにあるのか、気枯れとは何か。  色んなことを知ってからではないと、おじいさんが言っていた言葉の本当の意味を、あたしは理解出来なかった。 (山形に来て良かった)  そう思った。 「プー、山形に連れて来てくれてありがと」  あたしが言うと、プーは唖然としたようにぽかんと口を開けた。 「口、開いてるよ?」  慌てて口を閉じた彼が 「お前が急に変なこと言うからだろっ?」 と目付きを鋭くさせる。 「全く…どうして、あの優しいおじいさんと一緒にいて、プーはそんなへそ曲がりになったのかしら…」  思わず真剣に呟くと、彼はますます機嫌悪そうに 「しゃがましー」 とそっぽを向いた。 「うるさいって意味だっけ」 「そーだよ」  ふん、とプーが鼻を鳴らした後 「で、お前は何しに起こしに来たんだよ?」 と眉を寄せる。 「あ、そうだ。夕飯の時間だから、降りてらっしゃいって、おじいさんが。行こう」  まだベッドの上にいるプーの腕を引っ張ると、彼は 「引っ張るな」 と文句を言いながらも、大人しく付いて来た。
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