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「またフキ子さんが、でっちりけー、でっちりけーってご飯いっぱい出してくれるかな」
あたしが笑いながら言うと、彼に
「お前、山形来て太ったぞ」
と言われてしまった。
「う…」
実は、あたしもそんな気がしていたのだ。
フキ子さんが作るご飯は美味しいし、あたしがマレビトだからなのか、いつもすごいご馳走である。
ついつい食べ過ぎてしまう自覚はあった。
「いいのよ、山形から帰ったら少し甘いもの控えるから!」
「そう言って、どうせプリンとか食うんだろ」
「しゃがましーよ!」
そんな言い合いをしながら、あたし達は階下へと降りた。
すると、予測通り
「さぁ、でっちりけー、でっちりけー」
とフキ子さんが、ご馳走を用意して待っている所である。
(太っちゃうかなぁ)
と思いながらも、あたしはプーがご飯を食べるのを見るのが、結構好きだった。
普段もそうだが、山形に来てからも、プーは食事をとても綺麗に食べるし、残さない。
それも、おじいさんとの生活があったからだと思うと、その日の食事はなおさら楽しく感じられて、結局あたしはまた食べ過ぎてしまったのである。
山形に来て、四日目。
その晩、あたしは何の不安もなく熟睡した。
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