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夏場だと、二日も放って置くと、塩は湿気を帯びて来る。
雨の日などでかなり湿度が高いと、お皿に少し水滴が付くようなこともあった。
だが、すべてが水に変わるようなことはない。
(全部溶けて水になるって…)
気になって仕方ないので、あたしは図書館で塩に付いて調べてみることにした。
普通の調理用の食塩でもそうだが、塩には吸湿性があるのだそうだ。
湿度30%を境目にして、湿度がそれ以上になると、塩が湿気を吸うらしい。
すべてが水になるほどの湿度は、75%を超えるほどで、日本の夏であればそれくらいの湿度を越えることもある。
(じゃぁ、塩が完全に溶けることもあるんだ…)
それを知った時にホッとしたのは事実だが、あの時の塩は完全に水になっただけでなく、皿から溢れ、冷蔵庫の下まで広がっていたのだ。
大きな地震でもない限り、皿から溢れると言うのは考えにくい。
それに、あの時にプーが
「触るな」
と強く言っていたことが気になる。
あたしを脅かす為だけなら、あの後
「霊の所為で、塩が溶けた」
とか言いそうなものなのに、プーはそのことに関しては口を閉ざしたままである。
(なんでだろう…)
と思わずにはいられない。
ちなみに、その後、あたしは冷蔵庫の前とは別に、キッチンに盛り塩を置いたことがある。
プーは
「なんだよ、これ。邪魔くさい」
と言っていたのだが
「実験中なの。触らないでね」
とあたしが言うと、きょとんとしていた。
なんの実験か。
単純に同じ条件下で、冷蔵庫の前に置いた盛り塩と、キッチンに置いた盛り塩に差が出るのかを見る為である。
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