最終章 風の行方

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ユウさんの気持が嬉しかった。 というより深い愛情を感じた。こんなに愛されている。 確かに新しい生命は、心の上では私とユウさんの愛の結晶なのかもしれない。     もしも何事もなく、ユウさんと結婚して夫婦生活を送ったとしても子供は授からない可能性が高いだろう。                                                           そう考えると神様からのプレゼントではないが、運命の女神が微笑んだのかもしれない。                                                            「ユウさん、ありがとう。本当にありがとう。傍にいたい。ずーっとユウさんの傍にいたい。子供だって産みたい。なんか感じるの。私の中に新しい命が息づいてるのを。今日堕ろすって決まってから、特に感じ出した。生命って不思議ね。何かを伝えてくるの。 ユウさんが来てくれなかったら、多分このまま病院に行ってたと思う。いや今でもまだ迷ってる。本当にユウさんに甘えていいのか……  正直、今すぐには返事できない。ごめんね」   
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