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  今、俺は葬儀場にいる。 好きだったコスモスに囲まれて、笑顔を浮かべている有希。もう二度と見られない表情。 知らないおばさんがそっとハンカチを渡してくれた。 そうして初めて、自分が泣いていることに気がつく。 震える手で有希んちのおばさんが渡してくれたマスコットは、轢かれてぺしゃんこになっていた。 糸がほつれ、綿が出てもなお微笑むクマのキャラクター。 有希はこのキャラが好きだった。 「…うあ…ぁ……ああ…」 途端嗚咽がこみ上げてくる。言葉にならない声。 なんでなんでなんで。
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