世界

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  世界

   そこには、『この世』と呼ばれる世界があった。  『この世』はさらに三つの世界を持っていた。まず『現在』。そして『未来』。そして『過去』。  どの世界も、その呼び名は様々。『現在』自身も『この世』と呼ばれていたり、『未来』は『天国』、『過去』は『地獄』と呼ばれたりもする。『未来』と『過去』で『あの世』とも呼ばれている。  『現在』の住人は、他の世界の住人でも姿を見ることが出来る。  けど、他の世界の住人は、お互いに見ることは出来るけれど、『現在』の住人には見えない。  その代わり、他の世界の住人は、『現在』と自分の世界を行き来出来る。  逆に、『現在』から『過去』や『未来』、『過去』と『未来』を行き来は出来ないようになっている。  勿論、それらには全て理由がある。それぞれの世界がそう呼ばれる理由も、可視不可視の理由も、行き来出来る違いも、全て。  私が初めてその理由を知ったのは、数年前。彼と、彼が集めた仲間と、私とで、『現在』へ行った時だった。そこには『未来』の人間もいた。
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