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ボクの名前は、
"神代 貴雪"
カミシロ タカユキ
俗に言うニートだ。
19歳になった今でも家に引きこもる生活をしている。
世間一般で19歳といえば、大学生もしくは、もう社会人として一人立ちしている頃だろう。
けれど、ボクは一人殻に閉じこもって、他との接触を拒んだ。
コンコン―
「タカユキ。夕御飯、置いとくね」
「……」
「食べたら、また置いといてね…」
「……」
今のは、姉。
"神代 小雪"
カミシロ コユキ
うちの家族構成は、父、姉、ボクの三人。
母は、ボクが小学生の時に交通事故で亡くなった。
その所為もあってか、姉は社会人になった今でも家にいる。
姉が行ったことを確かめて、廊下のお盆を取る。
ラップの掛けられたミートスパゲティが乗っていた。
ラップをとってスパゲティを啜る。
姉は料理が得意だ。おそらく、このミートソースも自家製のものだろう。
そして、とても綺麗だ。弟のボクから見てもその言葉が素直に浮かんでくる。
いい人を見つけて、幸せになってくれればいいと思うが、家を出れない原因であるボクがそんなことを言っても仕方がないだろう。
父は、
"神代 冬貴"
カミシロ フユキ
父は、とても真面目な人で、ボクを何度も更生させようとしたが、今ではそれも諦めた。
今の悩みといえば、もっぱら会社の業績不振の方だろう。
ボクの一日は、姉の持って来る夕食で始まる。
基本は、夜型の生活。昼間寝て、夜起きる。
漫画にゲーム、ネトゲを適当にやって次の夜まで寝る。
くだらない日々の繰り返し。
けれど、そこには恐れも不安もない。自分だけの世界。
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