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 再度よく見てみると、刃は片刃で、柄の部分から刃先にかけて少し湾曲している。  刀でいう鍔の部分はなく、刃と柄が一体となっている。  柄に書かれた文字は、まるで、ミミズが這ったあとのようだ。  昨日と同じように薄ら光っている様に見える。 「一体、これはなんなんだ…?」  ナイフ…?そんなことは見れば分かる。  それより、なんでこんなところに?  ボクは、今日、風呂に行くまで一ヶ月は部屋を出ていない。  それより前に、これを見た覚えはない。  誰かが立ち入ったこともない。  じゃあ、いつ、だれが、何の為に、ボクの部屋に置いた? 「……―」  気が付くと、その不気味に光る刃に見入っていた。  何故だか分からないが、ボクを惹き付けるものがあった。  刃先を触る。 「痛っ…!!」  思ったより鋭く尖っている。  ボクの血が刃を伝って柄へと流れる。  文字に血が届く… ドクン…―  動悸がした。  一瞬、ナイフから何かがボクに流れ混んで来た気がした。  ナイフを見る。 「あれ…?」  血がついていない。刃先にも、柄にも…。  さっきのは、幻?  指を見る。…傷もない。 「気味が悪いな…。」  そう思い、机の引き出しにしまった。 「ゲームでもするかな?」
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