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「いやぁ―、や、やめて―…」 ザシュッ―…ザクッ―…グチャ―… 「や、やめろ、く、来るなぁぁ―…」 ヒュンッ―…ズシャッ―…ピチャピチャッ―… 「うわあぁぁ―ん」 「どうか、この子だけは…お願いだから…」 ザクッ―…バタン… 「うわぁぁ―」 グチャッ―…プシュ―…  鏡に映る、血に塗られた満面の笑み… 「うわぁぁ―っ」  慌てて周りを、見回す。  カーテンで閉め切られた部屋。日の光がカーテンから滲んで微かに明るい。 「夢か…」  全身に冷や汗をかいている。  酷い夢を見た。  人が惨殺されていく夢。  逃げ惑う人々の命をいとも簡単に切り裂いていく。  最後に見た満面の笑み… 「ボクだった…」  しばらくの沈黙…思考も全てが止まる…。  少し落ち着いて来た…。 「いやな、夢をみたなぁ…」  まさに、悪夢だ。  ふと、時計に目をやる。  昼の12時。  いつもなら、寝ている時間だ。  ボクは、自分が変な衝動に駆られていることに気が付いた。 "外に出たい"  ここ数年、そんなことは考えたことがなかった。  突然芽生えた思いに戸惑いを感じるが、それを肯定している自分もいることにまた驚く。 "外に出たい"  なんで?どうして?  その思いよりも、"出たい"という衝動がボクを動かす…。 ガチャッ―  扉の外へと―… 「タカユキ!?」 「姉さん…」
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