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あたしは一呼吸置いて
「あたしを不安にさせんとって…
もうこれ以上悩みたくないし」と言った
けんちゃんはこちらには
視線を合わさず、
「じゃあ俺どうすればえん?」とつぶやくように繰り返した。
「お金返して。
あたしけんちゃんにお金貸したことでより不安になるようになった…
いろんなこと考えてしまう…」
「ちゃんと返すし!
ただ今すぐは…」
語気が弱くなるけんちゃんをすごく冷静に見ている自分がいた
なんだろう、これ。
すごくけんちゃんが情けなく見えてしまうんだ。
弱気なけんちゃん、
立場が下になったけんちゃんがたまらなく嫌だった
あたし、
ちょっとけんちゃんに冷め始めてる…?
けんちゃんという人間を
冷静に見ているあたしがいるなんて前は考えられないことだった。
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