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あたしの半年と数週間の片想いは、たった今、終わってしまいました。
「…かれ、し?」
「うん、そう。彼氏。できちゃった」
「そっか…おめでと、ずっと、欲しがってたもんねえ」
「あはは、ありがとー」
あたしは知っていました。彼女には最近想いを寄せている人がいて、その人は男性で、両想いだったこと。昨日、男性のほうから彼女に想いを告げたこと。人伝いに聞いたことだったけど、やっと実感できたよ。本当だったんだ。もう、彼女はあたしだけの彼女じゃない。
あたしだけが、彼女の隣に居られたのに。
「それでね、今日…」
「一緒に帰ったら?あたし、どうせ部活あるし」
「ありがと、ごめんね…なんか気使わせちゃって…」
「いいって、気にしないで!まだ付き合い始めたばっかりでしょ?一緒に帰るくらいはしなきゃねー」
「もう、本当に良かったー。」
良くないですね、あたし的には。本当は一緒に帰したくなんてないんです。てか、お前なんかにやるかよって、そんなことまで思ってるんです。
でも、言えないでしょう?こんなに幸せそうな彼女を見ていたら、なんだかあたしの考えていることが汚すぎて。少しだけ、瞳が潤みます。
「じゃ、そういうことだから…私、席戻るね!」
「はいはい、お幸せにー」
「…ありがとう、大好きだよー!」
その大好きが、違う意味の大好きだったら良かったのに。友達に対する大好きじゃなくて、恋人に対して使うような大好きが欲しかったのに。…欲張りな、あたし。
暫くは2人きりで、帰らせてあげましょう。手を繋ぐまでなら許してあげます。あたしの大切な彼女を、傷付けやがったら承知しません。すぐに、殴り倒してやります。これからも、今までと変わらず、あたしのポジションは彼女の親友。甘んじて、受けましょう。
だから、泣いても良いですか。夜に一人、ひっそりと。誰にも聞かせないから。わからないように、するから。
涙、涙。
end.
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