幸せの破壊

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朝、お母さんから話を聞いたとき何となくはわかったから覚悟はしていた。 それでも実際に言われるときつくて体が震える。 そんな私に構わずお父さんは続ける。 「その結果、私はこの家とお前たちを捨てなければならない。だから私とは今日をもって親子では無くなる。 お前にはこの万年筆をあげよう。最後のプレゼントが私が使った物で悪いな…」 お父さんは使い古した万年筆を私に渡してくれた。 私はそのばに立ち尽くした。 階段がきしむ音がする。 玄関のドアが閉まる音が今日ほど大きいと感じた日はないだろう。 お父さんは家から出て行った。 サヨナラも言わずに…
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