幸せの破壊

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「お父さんここ3年ほど帰りが遅かったじゃない。 休みの日もいないし。」 言われてみれば確かに私の小学校の卒業式も中学校の入学式も出ていない。 私は黙って話の続きを待った。 「お父さんはね、浮気してたのよ。 誰だかはわからないけど。 1年前にやっと証拠をつかんだのよ。 それからは地獄だったわ。 ケンカの日々。 あなたたちにも悲しい思いをさせたわね。 でもね、もぉそんな日々からはサヨナラ。 …そして幸せからもサヨナラなのよ。」 言い終わった後お母さんは子供のようにワーワー泣いた。 あぁ、お母さんは本当にお父さんを愛してたんだ。 私は泣いているお母さんを見てられなくなった。 そのときは、お父さんが悪いと決めつけていた。 その夜、私は拓人のお父さん、大和さんに電話をした。 お父さんと大和さんは高校からの親友だった。 何回かのコール音のあとに繋がった。 「もしもし、こんばんは。 愛音ですけど大和さんいますか?」 私は電話口に言ったが返事がない。 …私、番号間違えた? いやいや、何百回とかけているんだから間違えるはずはない。 「もしもーし?」 三回目のもしもしコールで、すすり泣く声が聞こえた。 「あ…いね…」 拓人だった。
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