幸せの破壊

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今日は変だ、変な日だ。 私は自分が震えているのに気づいた。 「愛音?」 拓也お兄ちゃんが顔を覗き込む。 でもそれさえも気にならない。 お父さんは出て行くし、さくらさんは倒れるし拓人は泣くし… 足がガクガクする。 -ビューヒュー- 玄関先にいる私たちにまだ春の冷たい風があたる。 「愛音、風が強いから部屋に入ろう。」 拓也お兄ちゃんが私を家に入れようとした。 でも、お母さんがいる私の家の方が安心だ。 「拓也お兄ちゃん、拓人と一緒に家に来て。」 お兄ちゃんは拓人を連れてきた。 拓人は私を見ると下を向いた。 そんな拓人が愛しくて私は頭を撫でた。 「ガキだな、俺は。」 拓人は無理して笑顔を作った。 私はそんな拓人が見ていられなかった。
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