幸せの破壊

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「兄ちゃんから聞いた。 おじさん出てっちゃったんだって? 何もしてやれないで悪かったな。」 拓人は気まずそうに下を向く。 私は慌てて首を横に振る。 「みんないなくなっちまってるな。」 寂しそうに呟いた。 特別なんか望んでなかったのに。 幸せがガラガラと音を立てて崩れた。 「行ってきます。」 幸せがブチ壊れた次の日の朝。 重苦しい空気が如月家に流れていた。 私たち上山家はお隣の如月家でしばらく生活することになった。 大和さんが忙しいので拓人たちの世話が出来ないからお母さんが面倒を見るのだ。 この時は、そう信じていた。 「愛音、行くよ!」 拓人がムリして元気そうな声を出す。 なんだか切なかった。 学校での拓人は普通だった。 だけどたまに空を見る。 授業中や休み時間に、さくらさんが昇っていった空を… その顔はまるで小さな子供みたいだった。
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