幸せの破壊

7/29
前へ
/233ページ
次へ
-トントン- 「愛夏~、お姉ちゃんだけど入っていい?」 私がドア越しに話すと 「いいよ~」 と少し枯れかかった声が聞こえた。 -ガチヤ- 部屋にはいるとウサギのぬいぐるみと一緒に愛夏がベッドで寝ていた。 「愛夏、またお熱出ちゃったの?」 私が聞くと愛夏は悲しそうに頷いた。 愛夏は生まれつき体が弱い。 気温の変化が激しい季節とかはすぐに風邪をひく。 せっかくの入学式なのに… 「ねぇ、愛夏…」 私が話そうとすると部屋のドアが開いた。 「お父さん…」 「パパ!!」 そこには朝、会社に行ったはずのお父さんがいた。 「愛夏の入学式だから会社を早退したんだが意味なかったな…」 部屋には入らず、寝ている愛夏を見下して冷たくお父さんは言い放った。 愛夏の目に涙がたまる。
/233ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加