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美樹は彼女の言葉に驚いたようだった。 「誰なんです。」 彼女は身を乗り出して訪ねた。 「桐生組という暴力団の者です。」 「暴力団?」 「ええ。」 美樹は戸惑った様子でいた。 それも仕方ないと思った。 暴力団に恨みを持たれるとは思いもしなかっただろう。 捜査一課が男を逮捕したのは偶然の出来事だった。 男は警官に暴行を加えた罪で署に現れた。 その後のDNA検査でデータベースとの照合により今回の逮捕に至った。 渡部美樹は俯いたままでいた。 自分の夫が暴力団と関わっていたとは考えたくない。 関わっていたとしても、何故関係を持つことになったのかが不明だ。 玄関で物音がした。 マリアと美樹はそっちの方を向いた。 ただいま、と声がしたかと思うと足音は二階へと消えていった。 「ちょっと失礼します。」 マリアはそう言うと二階へ向かった。 扉の閉められた部屋の前に立つと言った。 「悟くん、少し話がしたいんだけどいいかな。」 数秒後、扉が開かれた。 「刑事さん。」 マリアは驚いた。 彼の目は憎しみを放っていたのだ。
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