6人が本棚に入れています
本棚に追加
美樹は彼女の言葉に驚いたようだった。
「誰なんです。」
彼女は身を乗り出して訪ねた。
「桐生組という暴力団の者です。」
「暴力団?」
「ええ。」
美樹は戸惑った様子でいた。
それも仕方ないと思った。
暴力団に恨みを持たれるとは思いもしなかっただろう。
捜査一課が男を逮捕したのは偶然の出来事だった。
男は警官に暴行を加えた罪で署に現れた。
その後のDNA検査でデータベースとの照合により今回の逮捕に至った。
渡部美樹は俯いたままでいた。
自分の夫が暴力団と関わっていたとは考えたくない。
関わっていたとしても、何故関係を持つことになったのかが不明だ。
玄関で物音がした。
マリアと美樹はそっちの方を向いた。
ただいま、と声がしたかと思うと足音は二階へと消えていった。
「ちょっと失礼します。」
マリアはそう言うと二階へ向かった。
扉の閉められた部屋の前に立つと言った。
「悟くん、少し話がしたいんだけどいいかな。」
数秒後、扉が開かれた。
「刑事さん。」
マリアは驚いた。
彼の目は憎しみを放っていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!