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「犯人を捕まえたわ。」
マリアが言ったが彼は信じていないようだった。
「誰です。」
「桐生組の男よ。」
悟は馬鹿にしたような笑いをした。
「あり得ないでしょう。普通に考えて。」
「現場に残っていたDNAと一致したわ。」
「じゃあその男の家から父の研究資料が出てきたんですか。」
マリアはきょとんとした顔でいた。
彼の言っている意味が理解できなかったのだ。
「父の研究室から奪われたんです。」
「まさか、畑中助教授が無くなったものはないと。」
「それは彼の嘘です。」
マリアは黙り込んだ。
暴力団が教授の研究資料など必要とするだろうか。
内部の犯行に見せる為であったとすれば、現場にDNAを残すはずがない。
マリアは悟の目を見つめた。
彼は何らかの事実を知っているのかもしれない。
聞き出すには…
だが、その必要はなかった。
彼は言った。その真相を。
「犯人は政府の連中です。」
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