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悟は電話で指定された場所にくると建物の外見を眺めた。 『Brewstar』と書かれた看板が取り付けられている。 中に入ると黒のラブラドールレトリバーが出迎えてくれた。 カウンターの向こうには年老いた男性が立っている。 「いらっしゃい。」 男はグラスを拭きながら言った。 店の内装は一言でいうとアンティークだ。 奥の席には女が一人。 悟はそこに歩いていった。 「どう、あたしの店。」 マリアが聞いた。 「お洒落ですね。」 マリアは彼に笑顔を見せた。 悟は向かいの席に座ると訪ねた。 「犯人が逃げたんですか。」 「逃げたんじゃないわ。アリバイを崩せなかったの。釈放したのよ。」 「それでまた奴が殺ったんですか。」 「わからないわ。でも可能性は高いわね。あたし達もその線で考えてるわ。」 警視庁が男を釈放した次の日にまた同様の殺人が起きたのは偶然であるはずがない。 上と組が繋がっているのは見え見えだ。 悟はマリアを見た。 彼の目は真剣そのものだ。 「僕が父の研究を受け継ぎます。」
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