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「どうするつもりなの。」
「真実を突き止めるんです。」
悟の意志の固さに驚かされた。
彼は強い。
「問題は、」
悟が言った。
「犯人を捕まえることが極めて困難だということです。」
この意味は犯人が見つけられないということではなく、罰するということだろう。
裏に政府がいるのなら当然だ。
「だけど方法がないわけじゃない。」
悟が続けた。
「メディアを上手く利用すれば不可能ではありません。」
そう、不可能はない。
悟は『不可能』という言葉が嫌いだった。
それはあまりにもネガティブな考えで、自信を喪失させる。
生きていく上で、自信を持てないのは損だ。
二人は店を出ると、マリアの車に乗り込んだ。
揺れる車内が感情をも揺るがす。
悟には車窓の景色など目に止まらなかった。
見えているのは自分のやつれた姿だった。
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