6人が本棚に入れています
本棚に追加
第二の殺害現場は手前数メートルのところで黄色のテープに覆われていた。
今も一人の警官がその辺りを監視している。
マリアは警官に手帳を見せるとテープの内に入っていった。
その後ろを悟が追う。
准教授はここにいた。
マリアは泉の周囲を見渡した。
足元で光るライトがその場の雰囲気を出していた。
といっても、ここは殺害現場だが。
だがライトが目に入ったのは正解だった。
何か文字が書かれている。
『早川』
水で書かれているため字の端が滴っているが、しっかりそう記されていた。
悟もそれに気付いたようだ。
ライトに近付くと、それを眺めてから死体のあった方に目をやる。
そこからは十分に届く距離だ。
准教授が書いたものとすれば、この名は犯人を指すのだろうか。
だがあの暴力団員の名前は早川ではない。
犯人は別の誰かなのか。
マリアが文字を見つめていると悟が言った。
「どうしてここにいたんだろう。」
「えっ。」
「先生は僕の大学で勤務していたはずです。なぜここに。」
「あぁ。それについては私達もわかってないの。誰かに呼び出されたとか、それぐらいしか考えられないわ。」
「違う。誰かに会いに来たんだ。」
最初のコメントを投稿しよう!