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大阪府警捜査一課
橋本マリアは叫び声を上げた。
「どうしてですか!」
局長はマリアから逃げるようにして、缶コーヒー片手に喫煙所に向かった。
マリアは彼の行く手を塞いだ。
「待って下さい。」
厳しい口調で突っ掛かる。
「終わった話だ。」
「せめて何故かを教えて下さい。」
「事件は警視庁に引き継がれる。」
「警視庁が?」
マリアが訪ねると局長は頷いた。
「何故です?」
「君は質問が多いな。」
「よく言われます。」
「いいか、あいつはいくつもの罪を犯した野郎だ。その大半は東京で、組織もそこにある。どういうことか分かるかな、新人さん。」
そう言われるとマリアはムッとした顔を見せた。
新人と呼ばれるのが気に食わないらしい。
「彼に関するデータを全て破棄しましたよね。」
「破棄じゃない。向こうに渡したんだ。最新の照合技術を取り入れるのには絶好の容疑者だってよ。」
「三次元データ照合ですか。でもこっちにデータは残ってません。」
「向こうさんがする仕事だ。こっちでは終わったんだ。」
そう言うと局長は今度こそ喫煙所に入って行った。
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