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渡部悟は家に着くとリビングのソファーに身を投げた。 まだ5月だというのに、夏のように蒸し暑い。 机の上にあるリモコンを手に取りテレビをつけた。 テレビでは子供たちが噴水の水を浴びている姿が映されている。 気温は26℃。 暑い… 悟は机にあった手紙に気付いた。 自分宛てになっている。 どうやら母さんがポストから取り出して来たらしい。 悟は手紙を開くと中を見た。 そこには短い文章が書かれていた。 『この手紙は読み終えたら処分してくれ。君の父親の死に関することだ。18日の午後4時、三条駅にある像の前に来て欲しい。』 差出人は不明だ。 誰かのイタズラでは? 頭の中の思いとは裏腹に、体が行動をしていた。 悟はすぐに支度を済まし家を出た。 三条は京都の名所だ。 自分の家は大阪市内にある。 ここからだと一時間はかかるだろう。 手紙で指定された時間に間に合うかどうか際どい。 悟は自転車にまたがると猛スピードで坂道を下った。
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