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「広報部の大木さんとアポを取っている神田ですが。」
と、美人受付に言うと、爽やかな笑顔で「神田様ですね、少々お待ち下さいませ。」と、言い、大木を呼んだ。
戸田は、受付と友里を見比べて友里の勝ち、のような笑いをこぼした。
大木をフロントで待っている間、戸田に言う。
「いい?あんた一言もしゃべんないでよ!お願いだから!」
使える部下ならともかく、いらぬことを口に出されると全てが危うい。
取引先に話を切られることすらある。
「うぅ~す。」と、気乗りがしないような返事をする戸田。
そこに、大木がやってきた。
大木は、どっかのメタボ狸といい勝負のお腹をしてる。
それに、垂れ下がった目に、口元の大きなホクロ。いかにも痴漢です。任せて下さい。そんな顔をしていた。
一通り挨拶を交わし、ビルから歩いて10分ぐらいあるカフェに移動した。
「僕のお気に入りの店でねぇ、雰囲気がねぇ、好きなんだよ。」と、話してみるとなんとも生理的に受け付けない口調だ。
「確かに、この店の雰囲気、私も好きです。」と、気持ち悪い置物を見ないようにして言った。
話は一応順調には進んだ。
全体の構成、FLASHプレイヤーの移り変わり、必須記入事項…もろもろを必死にメモを取った。
2、3時間は話しただろうか。
「そろそろ上がろうか。」と、大木が切り出した。
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