カエサル=ウォン=リヴェーダ=ジークフリート

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王宮深く。 窓もない部屋に、青年と年齢もバラバラに見える5人の男女。 皆、綺麗に整えられた身なりで、かなりの身分だと思われる。 部屋は、窓が無い以外に特に目立つところはなく、部屋の中央に長方形のテーブルと、その周りに椅子があるだけだ。 白い壁紙も床も、目立つ汚れ等無い。 座り心地の良さそうな椅子と、繊細な文様のテーブルクロスが掛けられたテーブル。 その上座には青年が座っている。 ゴールドプラチナ色の髪は、肩に着くか着かないかの程度に長く、先が外に跳ねている。 寝起きとも取れるほどにラフな格好で、不機嫌な表情を見せる青年の視界には、5人が5人とも困り顔で映っている。 「カエサル王子のご要望通り、何人かリストに挙げてまいりましたが……」 カエサルに一番近い髭の長い老人が、カエサルの目の前に長い紙を差し出した。 その紙にとくに目を通す事なく、カエサルは五つの名前に丸を付けた。 「用はこれだけなの?」 「そうですが、本当にこれで良いのですかな?」 カエサルは頷いて立ち上がり、部屋から出ようと扉に向かった。 「カエサル王子。王子の臣下となる者達の、経歴等の説明はよろしいのかな?」 「いらないよ。どうせすぐにお別れだし」 そう言って扉の向こうに消えた。 カエサルの去った部屋の中には、5つのため息が響いていた。
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