魔王の血縁

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「あなたと私。直接は関係ないの。あなたの先祖を私の祖父が殺したけれど、あなたがそれを気にしないなら、私はあなたの臣下。ただ、約束と主従だけの繋がり」 「約束?」 「そう。私の祖父、初代国王を殺した魔王。あの人と私の約束」 「……」 エルディリアの紫の瞳を見ていると、意識が薄くなっていく。 半透明の膜を張ったような視界と音。 響くようで、すぐに消える。 エルディリアが、何か魔法でも使ったんじゃないか? そんな想像が働く、奇異な五感からの情報を、カエサルただ受け入れていた。 「なんの、約束?」 定まらない視界の中にエルディリアを入れて、先程から気になっていた事を尋ねた。 「主を持ったら、主の為に働け。例えば、主が泣いて拒んだとしても、主が望まなかったとしても、主の為と思ったなら、嫌悪するようなことも、苦しいことも……やりなさい。主の望みを、最良で叶えなさい」 「そう」 不可解な感覚からは、未だに解放されない。 考え事など出来そうにない状態なのに、カエサルはエルディリアの言葉を考えていた。 昔読んだ物語の、悪魔との契約のようだ。 代償のない契約。 ただ、ある時、確実に徒になる。 拒んだら、どうなるだろう?
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