魔王の血縁

6/8
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
「俺に拒否権はあるの?君の主人にならないっていう選択肢」 「……私を五柱に選んだのは、あなたでしょ?」 それは、正しくだ。 選び方はどうであれ、カエサルはエルディリアを選んだ。 過程を問題としないのであれば、その結果は動かない。 「それはどうしようもないか。じゃあ、質問。君は俺を王にしたい?」 カエサルの問いに、エルディリアは迷わずに首を横に振った。 「王にしたいとは思わないし、それを重要だと感じないわ。でも、例え王でなくとも、私はあなたについて行く」 「……君は、悪魔だね」 「否定は、しないけど」 エルディリアは、不快そうな表情で、拗ねたようにカエサルを見上げた。 「拒否権はあげないけど、選択肢ならあげる。私の知り得る全てを知るか、何も知らないか」 「なにそれ」 「たどり着くのは同じよ。知らずにその場に行くか、知ってその場に行くか」 「知らないのに、たどり着くとか無理じゃないの?気持ち悪いし」 カエサルは、すでに地に足のつかない不自然な感覚にも慣れ、目の前の娘に対する不信感さえも慣れている。 逃れられない契約は、すでに済んでいる。 ある種の諦めの境地だ、とカエサルは心の中でうなだれた。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!