第1話

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「セーフ……」 「何してんだ、お前?」 「なんで……起こして…くれなかったのよ………」 有希はところどころ切らしながら話した。どの位の速さで走ってきたのかはわからないが、相当疲れているようだ。 「子供じゃねぇんだから自分で起きろ」 「同じ家に……住んでるんだから……起こして…くれてもいいじゃない………」 「無理に起こしたら蹴ってくるだろ?」 「うっ……」 いるよな、そういう奴…… どちらかと言えば佑樹の方がだらしなさそうに見えるし、兄妹の場合は妹の方がしっかりしているという話が多いかもしれないが、この家は全くの反対で妹である有希の方がだらしないのだ。朝寝坊は当然のこと、家事はできない、遊ぶことが大好きで、勉強はとりあえずテスト1日前にするらしい。そんな有希も容姿は整っているし、スポーツが得意なのだが、マイナスが多すぎて何とも言えない。 その反面佑樹は、家事は得意で、遊ぶときは遊んで勉強するときは勉強するといった感じできっちり分けているし、スポーツは万能で有希と同じく容姿も整っている。こうして考えてみると駄目な点が見つからない。この兄妹は、片方が駄目なら片方は良くなるいい例かもしれない。
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