第1話

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「ほら、お前ら席に着けよ」 ちょうどいいタイミングで担任が教室に入ってきた。 えっと……どこかで見たことのある先生なんだけど誰だったっけ? 「わたしがお前らの担任の久留間深雪(くるま みゆき)だ。とりあえず1年間よろしく頼む」 この男口調の女教師どこかで見たことがあると思ったら、去年入ってきたばかりの教師だ。去年は1年の副担任をしていたようだが、2年目で3年の担任になるなんて見かけと言葉遣いの割に優秀なんだな。 「まあ、今年はお前らも受験生だ。就職するか進学するかはお前らの勝手だし、どこに行くかもお前らの勝手だ。わたしはお前らに全力で力を貸すつもりだが、落ちてもわたしのせいにするな。それだけだ」 はっきり言ったなぁ……。 しかし、どこに行くかもお前らの勝手と言うのは、なかなか珍しい先生な気がする。学校の名誉だの知名などどうでもいい、俺達の受けたい場所を受けろと言いたいのだろう。 そして、その話が終わったのと同時に、教室の後ろのドアがガラガラと音をたてて開かれた。当然教室にいる担任も含めた全員の目がそちらの方に向いた。
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