並行煩悩

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男性はあらかじめ用意してあったラベルのない水の入ったペットボトルを開け、一息ついた。口を腕でぬぐい、演説を続ける。 「人類もとい、生命が誕生してから常識が生まれたのではなく、常識は元から存在し、それに変化が現れたから生命が生まれたのではないかと。ほらあれじゃないですか。元はなにもないという常識がやっとこそさ重たい腰を上げて宇宙作りだしたんじゃないですか。そんで僕は色んな常識を調べた結果、一つの結論が出たんでございます。」 ほんの数秒、間を空けてまた再開する。 「我々は常識によって動かされているのではないかと。常識に捕らわれているのではないかと。一人一人個人が常識を持っているように見えてもそれはただの錯覚で、実際は常識にそうなるよう操作されているのです。人類は神という物を作りだした。しかしその神ってのは常識なのではないのだろうか。神を信じ、神を崇める人々。おめでとうございます神はいたじゃないですか。でも僕は神は嫌いなんです大嫌いなんです生理的に無理なんです。」 男性は脂っこい顔を歪めて元から汚い顔を更に醜くしながら話す。 「私は命令されるのが嫌いです。虫酸が走る程に。なので今回の調査で発見したことについても凄くイライラしました。この俺が常識に捕らわれてる?ふざけんな誰がそんなもんに左右されるなんて笑いにすらなりませぬ。なので僕は常識が泡を吹いて倒れるようなことをしてみました。爆弾を作りました星が九つに吹き飛ぶくらいの物を。たぶんこれなら常識もびっくりでしょう。これで僕の話は終わります。」
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