落としもの

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ある日、人気のない夜道で男が探しものをしていた。 すると道端で一人、すすり泣いている少女を見つけた。 「どうしたの?  こんなところで何を泣いているんだい?」 声をかけられた少女は、目を閉じて泣きながら顔を男の方に向け、理由を話しはじめた。 「父と母からもらった大切なものを落としてしまったのです」 「それは大変だ。私も一緒に探してあげよう。何を落としたんだい?」 少女はちょっとためらってから、ゆっくりと目を開いた。 「なるほど。眼を落としてしまったんだね」 少女の眼のあるべきところにはぽっかりと穴が空いていた。 「一緒に探していただけますか?」 「もちろんだとも。ただ一つだけ問題があってね…」 「なんでしょう?」 男は少しためらった。 「実は私は両腕を落としてしまったんだよ。これでは君の眼を見つけても拾えない」
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