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「アズサ・・・・。貴女にしか出来ないのよ。お願い・・・・。世界を、未来を救って・・・・。」
ユリアの体がブレ始める。
え。
そんな、ちょっと待ってよ。
そんな急に。
「貴女の事は皆の記憶を改竄して、そこの大佐の幼馴染みにしておくわ。後はどうにかなるでしょう。」
そんな、勝手な。
ほら、ジェイドだって固まってるじゃないか!
「またね、アズサ。」
ユリアは手を振って消えた。
「おい、こら!待ちやがれぇぇぇえ!!」
私の絶叫は、牢屋に虚しく響いた。
ユリアへの怒りを抑えつつ、私はジェイドへと目を向けた。
ジェイドは無言で私を繁々と見つめていた。
「アズサ・・・・。」
そして、そう呟いた。
馴れ馴れしく呼ぶ仲じゃないはずなんだが?
私はさっきのユリアの言葉を思いだし、言った。
「おい、ジェイド。言っておくが、私はお前の幼馴染みじゃないからな。
お前の幼馴染みはピオニー陛下とサフィールだからな。」
私はそう釘を差した。
するとジェイドは狼狽えるように言った。
「分かってるんです、そんなことは。
しかし、さっき貴女が始祖ユリアと呼んだ女が言ったように、私の記憶が改竄されたようで・・・・。
幼い頃の記憶にいつの間にか、アズサという女の子が出てきてるんですよ。」
ユリア・・・・。
あんた、なんてことしてくれたんだよ。
事態がややこしくなってきた・・・・。
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